顧客の声をそのまま聞くと、上手くいかないことがある。
人は、未来ではなく「今の延長線」で答えるからだ。
「もし、人々に何が欲しいかと尋ねていたら、
彼らは『もっと速い馬』が欲しいと言ったであろう」
(If I had asked people what they wanted, they would have said faster horses.)
へンリー・フォードの言葉として知られている。
私は、マーケティング研修で「顧客の声をどう聞くべきか」を説明するとき、
必ずこの言葉を紹介する。
すると受講者の表情が変わる瞬間がある。
この言葉が示しているのは、
顧客が新しい選択肢を知らない状況では、
発想はどうしても現状の延長線上に留まる、ということだ。
当時、移動手段は「馬」だった。
だから顧客が望むのも、「より速い馬」になる。
まったく新しい概念である「自動車」を想像することは、難しかった。
同じ言葉を、スティーブ・ジョブズも好んで引用したと言われている。
iPhoneは、顧客の「もっと速い馬」という声を理解したうえで、
その枠を超える提案をした結果だったのかもしれない。
「もっと速い馬が欲しい」という声の奥には、
「もっと速く移動したい」というニーズがある。
さらにその奥には、
「移動時間を減らし、仕事や人生に使える時間を増やしたい」
というインサイトが隠れているのではないか。
マーケティングとは、
ウォンツ(欲しいと言われたもの)に応えることではない。
その背後にあるニーズやインサイトを見にいく営みだと思う。
あなたは今、顧客の要望の奥にある「本当に解決したいこと」に
気付いていますか。
(2026年2月24日X/Instagram投稿)