クーポンが使われない理由は「お得度」ではない。
人の意思決定の構造と噛み合っていないからだ。
会計のたびに、レシートと一緒に出てくる様々なクーポン。
実は私はスーパー好きだが、正直クーポンを使ったことがない。
律儀な私は、一応、財布に入れるが、気づけば期限切れ。
「得なはず」なのに、行動にはつながらない。
ここで問うべきは、
クーポンは誰の意思決定を助けているのか、という点だ。
問題は大きく2つある。
1つ目は、文脈の欠如。
人は「今・この状況」で判断する。
今日の献立、冷蔵庫の中身、時間の余裕。
それらと無関係に渡されるクーポンは、情報ではなくノイズになる。
2つ目は、報酬の遅さ。
次回限定、条件付き、有効期限あり。
人は「いつか得をする」より、
「今すぐ得をする」ものに強く反応する。
このズレを構造的に解消しているのが、
最近首都圏に進出してきたスマートストアとも呼ばれる「トライアル」だ。
スマートカートと呼ばれる同社のカートは
売り場を通過する「その瞬間」に、
その場所に合った商品や価格を提示する。
「今・この状況」と「今すぐ得をする」を同時に満たしている。
トライアルが下げているのは、価格だけではない。
判断コスト、認知負荷、決断疲れだ。
マーケティングの役割は、情報を渡すことだけではなく、
判断の負担を軽くすることでもある。
あなたのサービスは、顧客の「判断」を助けているだろうか、
それとも「負担」を強いているだろうか。
(2026年2月13日X/Instagram投稿)